投資分析のはなし②

前回は、時間的価値を考慮した不動産の評価方法にDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法があることを書きましたが、今回はDCF法を使った具体的な投資分析方法を解説します。

①NPV(正味現在価値)法
この方法は、投資に対して期待する利回り(割引率)が決まっている場合に利用します。
NPV≧0であれば、その投資は期待以上の利回りが実現する可能性がありますので承認されます。
以下、簡単な例をあげて説明します。

毎年の収益(NOI)100万円、5年後の復帰価格(売却価格)1000万円、初期投資額1000万円の不動産で
期待利回りを10%とする場合


「将来のキャッシュフローの現在価値合計-初期投資額=0」 (NPV=0)
(将来のキャッシュフロー計算式は投資分析のはなし①をご覧ください)


この場合ではNPV(正味現在価値)が0になりますが、期待以上の利回りを実現する可能性がありますので
この投資は承認されます。
仮にNPVがマイナスになるときには承認されません。なぜなら、投資は資産を増加させる為に行うからです。


②IRR(内部収益率)法
この方法は投資金額が決まっている場合で、この投資がどの程度の利回りを実現できるかを計算します。
IRRが高いと、投資パフォーマンスが高いと言えます。
先程の例で計算します。
 
毎年の収益(NOI)100万円、5年後の復帰価格(売却価格)1000万円の不動産に1000万円投資する場合


IRR(内部収益率)は「将来のキャッシュフロー合計=初期投資額」となる割引率になります。
つまり、NPV=0の時の期待利回りと同じになります。
よって、この場合はIRR=10%となります。


このIRR(内部収益率)を資本コストと比較して判断する方法もあります。
投資額1000万円のうち、自己資金500万円、借入金500万円の場合
借入金の金利は5%、自己資金については期待利回りを10%とします。
(自己資金もタダでは利用できないと考えます)


5%x500万円/1000万円+10%x500万円/1000万円=7.5%
この数値をWACC(資本コスト)といいます。
IRR 10% ≧ WACC 7.5% になりますので、この投資は承認されます。


以上のような投資分析を行うに当たり、自分が期待する利回りを明確にすることが重要になります。
具体的には、リスクフリーの国債利回り+リスクプレミアムで期待利回りで検討します。


リスクフリーとは、国債など買って放っておいても確実に収益がとれる利回りです。
10年国債の利回りは、長期金利として毎日発表されています。最近は1.2%前後です。


リスクプレミアムとは、不動産で収益を得る為のリスクの上乗せ分です。
投資物件の個別条件や周辺の平均値にもよりますが、基本的には投資家の希望値となります。
ただし、数値が高いほど投資額が低くなり実際に対象となる物件が少なくなります。


私の場合、期待利回りは最低でも7%以上で計算します。
(ちなみに複利で7%で回ると10年で倍になります)



NPVもIRRもエクセルの関数に入っていますので、関数ウィザードを使って簡単に算出できます。
エクセルの知識がある方はぜひチャレンジしてみてください。



投資対象となる物件は千差万別ですが
投資分析という同じ尺度の物差しで比較検討する事により
お宝不動産を見極めることが可能となります。


まあ、これが大変なわけですが「That’s your job!」 これが投資家の仕事です。
よくわからない方、面倒な方は私にご相談ください。
(このシリーズのオチはすべてこれで行きます!)


次回は借入金に関連する投資分析を解説します。 


 
 

山梨日日新聞に記事が掲載されました

2月8日付 山梨日日新聞 「毎月+1万円の貯蓄術」のなかで
住宅ローンの繰上げ返済についてのアドバイスが掲載されました。

ご興味ある方は、こちらをご覧ください。

投資分析のはなし①

前回、投資利回りについて書きましたが、今回から数回にかけて投資分析法について解説いたします。

投資利回りには抜けている概念があります。それは「時間的価値」です。
アメリカでは”Time Value of Money”として投資の基本中の基本の概念です。

「時間によって価値は変わる」 今日の1万円と1年後の1万円では価値が違うという考え方です。
簡単に説明すると、以下の理由からです。

・今と将来では、お金を受け取れる確実性が、今のほうが高い。
→今日1万円もらう方が、1年後1万円をもらう約束するより確実である。

・物価変動により、今と将来では同じ金額でも、購買力が違う。
→物価上昇すれば、1年後の1万円では今日1万円の商品が買えない。(デフレの場合は逆)

・1万円金融機関に預けておけば、利子がもらえるので1年後には1万円以上になっている。
→今日の1万円は1年後1万円+利子の価値がある。

時間的価値を考慮した不動産の評価方法にDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法があります。
聞きなれない言葉かもしれませんが、日本でも不動産証券化の普及に伴い浸透してきました。
不動産が稼ぎ出す毎年の収益(NOI)と復帰価格(売却価格)を適切な割引率で割り引き、その合計額を不動産価格とする方法です。

簡単に例をあげてみます
毎年の収益(NOI) 100万円、5年後の復帰価格(売却価格) 1000万円、割引率10%の不動産の場合

100万円/1.1+100万円/1.1^2+100万円/1.1^3+100万円/1.1^4+(100万円+1000万円)/1.1^5=1000万円
つまり、この場合の1000万円で購入すれば、10%の利回りが確保できるということになります。

例では5年間で計算しましたが、5年~10年位が一般的です。
私の場合も5年を採用するケースがほとんどです。
あまり長い期間だとそれこそ「絵に描いた餅」になる恐れがあるからです。

割引率についても、自分が期待する利回りや周辺相場を採用します。
ちなみに、この割引率の事を「キャップレート(還元利回り)」とも言います。

このように、収益物件では対象不動産がいくら稼ぎだせるかにより価格が決まります。
ただし、前提条件は「正しい数値」で計算されていることになります。
これが一番重要かつ難解ですが、「That’s your job!」 投資家の仕事です。

面倒な方は、私にご相談ください。(前回と同じオチでスミマセン・・・汗)

次回からは具体的な投資分析について解説します。